収益を得るための方法として、一戸建てを売却するか賃貸するかという選択肢があります。
売却と賃貸のそれぞれにはメリットや注意点がありますので、自分にとって最適な方法を選ぶためには比較検討が必要です。
ここでは、それぞれの方法の特徴や具体的な手順、判断基準について詳しくご紹介します。
住まない一戸建てどうしよう?
転勤や相続などの理由で、住まない一戸建てを所有している場合、そのまま空き家にしておくよりも、売却するか賃貸することで収益を得たいと考える方も多いです。
では、売却と賃貸のどちらが良い選択なのでしょうか?ここでは、それぞれのメリットや注意点、選択する際の判断基準などを詳しくご説明します。
一戸建てを売却するメリットとデメリット
最初に一戸建てを売却するメリットとデメリットを見ていきましょう。
売却するメリット
一戸建てを売却することには、いくつかのメリットがあります。
まず、一度に大きな金額が手元に入るため、資金をまとめることができます。
また、維持管理の手間や労力をかける必要がなくなるため、負担が軽減されます。
自分が住んでいる家を売る場合、特定の条件を満たしている場合には税金の優遇措置が受けられます。
不動産を売却した場合、売却利益に対して「譲渡所得税」という税金が課されます。
しかし、特別な条件を満たしている場合、一部の譲渡所得が控除されることがあります。
売却利益とは、実際に売却契約を結んで得た売却価格から、物件の取得にかかった費用や売却時の諸費用を差し引いた金額です。
3000万円を超える利益の場合、特例として「3000万円特別控除」という控除額があります。
つまり、譲渡所得が3000万円を超える場合は、超過分に対して税金が課されます。
一方、利益ではなく損失が出た場合でも、特定の条件を満たす場合には税金の還付を受ける可能性があります。
ただし、利益の場合も損失の場合も、特例を利用するためには確定申告が必要です。
売却するデメリット
一戸建てを売却すると、実際には資産を失うことになります。
さらに、相続の観点から見ると、不動産よりも現金の方が「相続税評価額」という基準により高く評価される傾向があります。
相続税評価額は、相続税の計算に使用される金額のことです。
つまり、不動産を売却して現金化すると、不動産をそのまま所有している場合と比較して相続税の支払額が高くなる可能性があるということです。
また、売却には仲介手数料や印紙税、先ほど説明した譲渡所得税などの様々な費用や税金が発生します。
ただし、税金には特別控除の適用がある場合もあるため、事前に確認することが重要です。
さらに、もし住宅ローンがまだ残っている場合、売却する際には住宅ローンの残債を返済する必要があります。
引き渡し時に住宅ローンの残債を完済し、抵当権を剥奪することが、売買契約書において一般的な条件となっています。
このような手続きを踏まなければ、不動産の売却が完了しないことになります。
一戸建てを貸し出すメリットとデメリット
次に一戸建てを貸し出すメリットとデメリットを見ていきましょう。
貸し出すメリット
一戸建てを貸し出すことには、いくつかのメリットがあります。
まず第一に、家賃収入という魅力的な不労所得を得ることができます。
一戸建ては、多くの家族層から需要が高く、入居期間が長い傾向があるため、安定した収入が期待できます。
また、将来的には家を借り手に売却するという選択肢もあります。
さらに、不動産を所有し続けることで、相続時の節税効果も期待できます。
不動産を売却せずに所有しておくことで、現金で相続するよりも節税効果が生まれるのです。
もし売却しなかった場合、所有者として不動産を保有し続けることで、相続税の対象となる資産を減らすことができるため、税金の負担を軽減することができるのです。
このように、一戸建てを貸し出すことには、安定的な家賃収入、将来の売却オプション、そして節税効果といった魅力的なメリットが存在します。
ですから、不動産所有者として一戸建てを貸し出すことは、賢明な選択と言えるでしょう。
貸し出すデメリット
一戸建てを貸し出す場合、まずは初期の設備投資と維持管理費用を考慮する必要があります。
また、入居者がいないと家は空き家になり、収入を得ることができません。
一戸建ては、アパートやマンションとは異なり、入居率は0%か100%になってしまいます。
なので、賃貸経営を行う場合は、借主が通常使用による家の劣化や経年劣化を引き起こす可能性も考慮する必要があります。
通常の損耗や経年劣化に対応するためには、余分な資金を確保することが重要です。
さらに、もし賃貸物件に住宅ローンが残っている場合は、原則として他人に家を貸すことはできません。
その場合には、状況に応じて、住宅ローンを不動産投資ローンに切り替えることで、賃貸が認められる場合もあります。
住宅ローンは銀行との契約によって、資金使途がマイホームの購入に限定されていますから、収益物件の購入とは矛盾してしまいます。
また、賃貸として利用した後に売却する場合、住宅用不動産の売却とはみなされず、マイホームの売却時に享受できる税制上の優遇措置を受けることができない場合もあります。
具体的には、他人に貸し出した住宅を売却する場合、転居してから3年以内の12月31日までに売却しないと、マイホームの売却特例が適用されません。
もし将来的に家に戻り自身で住みたいと考えている場合、賃貸契約を結ぶ前に、あらかじめ決められた賃貸期間を設定する「定期賃貸借契約」がおすすめです。
売却か賃貸の判断基準は?
持ち家を売却するか、それとも賃貸物件にするか、判断基準をお伝えします。
今後住む予定の有無
もし、あなたが現在その家に住んでいないが、将来的に再び住む予定があるのであれば、一時的な状況です。
このような場合、賃貸物件を考慮することが賢明です。
賃貸物件を検討する場合、まず周辺地域の賃貸需要を確認することをおすすめします。
周辺地域にはどれくらいの需要があるのか、同様の物件が他にいくつあるのかなどを調査しましょう。
維持管理の可否
家主として戸建ての賃貸物件を管理するかどうかは、売却するか賃貸するかを決める上で重要な要素です。
自分自身で賃貸管理を行う場合、物件で緊急の問題が発生する可能性があります。
その場合、すぐに対応できるか、遠くに住んでいるために対応が難しいかが判断材料となります。
家主の管理業務には、入居者の対応、物件の管理、資金管理という大きな項目があります。
入居者に対する業務は、近隣トラブルの対応や退去の立会いなどが一般的ですし、物件に関する業務は清掃や修繕、資金に関する業務は家賃の集金などが含まれます。
これらの業務の中で、資金管理は遠くに住んでいても可能性があるかもしれませんが、入居者や物件の対応には迅速に対応する必要があることが多い傾向にあります。
自分が物件の近くに住んでいない場合は、家主の管理業務は難しいと言えます。
ただし、家主としての管理業務、つまり大家業は、外部の専門業者に委託することもできます。
もし賃貸を検討する際に管理業務がハードルになっている場合は、不動産会社に管理業務を委託することを検討すると良いでしょう。
物件の需要
物件を売却するか賃貸に出すか迷った場合、需要があるかどうかを判断基準として考えることがあります。
この判断基準には、立地や築年数、そして戸建てであるという条件を考慮します。
もし賃貸需要がない場合、物件を売却する方が良いかもしれません。
一般的に賃貸需要が高い物件は、駅の近くに位置しており、築年数が浅い物件です。
さらに戸建て物件は、ファミリー層からの需要が高い傾向があります。
そのため、ファミリー向けの間取りや子育てに適した環境などがある物件は、需要が高くなることが予想されます。
実際には、同じような条件で賃貸に出されている物件の数や、不動産相場を調査して判断することが良いでしょう。
これにより、物件を賃貸に出すことが有望であるかどうかを判断することができます。
まとめ
ここまで自分の持ち家をどうするか、売却するか賃貸に出すかの比較をしてきました。
売却の方法としては、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」や、まずは賃貸に出した後に売却をする方法があります。
また、一戸建てを解体して土地だけを売却するという選択肢も考えられます。
さまざまな選択肢の中から、自分に合った方法を検討することが重要です。
しかし、情報収集や状況に応じた判断、具体的なシミュレーションを行うには、専門知識が必要であり、初心者にとっては難しい作業かもしれません。
そのため、不動産の売買や賃貸経営のプロである不動産会社に相談しながら、検討していくことをおすすめします。
戸建てを賃貸に出すか売却するか、または賃貸から売却するか、どの方法を選ぶにしても、不動産会社と良好な関係を築くことで成功の手がかりを見つけることができるでしょう。