対象範囲
不動産インスペクションとは、住宅診断士などの専門家が不動産の問題や修理の必要性などを確認する点検作業です。
具体的には、以下のような項目が対象となります。
1. 建物の構造: 建物の基礎や柱、壁などの構造部分が傷んでいないか、正しく建てられているかを確認します。
特に、木造建築の場合は腐食やシロアリ被害などに注意が必要です。
2. 雨漏りや結露: 屋根や外壁、窓などに雨漏りや結露の跡がないかをチェックします。
雨漏りや結露があると、建物の内部が損傷する恐れがあります。
3. 配管や配線: 水道やガス、電気などの配管や配線が正しく設置されているか、異常がないかを確認します。
水漏れや漏電のリスクを低減するために重要です。
4. 水まわり設備: キッチンや浴室、トイレなどの水まわり設備が正常に機能しているか、破損や故障がないかを調べます。
不具合があると日常生活に支障が出る可能性があります。
5. 施工の品質: 新築物件やリノベーションなどで行われた工事の品質をチェックします。
施工ミスや劣化の問題がある場合は早期に発見し、適切な対策を取ることが重要です。
6. 環境面: 周辺環境や法的制約などの要素も考慮します。
例えば、土地の法的な問題や風通しの悪さなど、居住環境に悪影響を及ぼす可能性がある場合には指摘されることもあります。
上記のような要素を総合的に点検し、不動産の問題やリスクを把握することで、購入者はより安心して不動産取引を進めることができます。
また、問題点が発見された場合には、修理や改善策の提案も行われることがあります。
そのため、不動産インスペクションは重要なステップとなります。
インスペクションに関する詳細
不動産のインスペクションは、以下の3つの場所を重点的に調査します。
(1)雨漏りや水漏れの恐れがある場所:屋根、天井、内壁、外壁など。
これらの場所は、水の侵入やシーリングの劣化によって、建物の耐久性に問題を引き起こす可能性があります。
(2)設備配管がある場所:給水管、排水管、排気ダクト、給油管など。
これらの場所は、腐食や漏れによって、設備の機能や安全に影響を及ぼす可能性があります。
(3)構造的に問題となりそうな場所:基礎部分、床、梁、柱、壁など。
これらの場所は、劣化や腐食によって、建物の安定性や耐震性に問題を引き起こす可能性があります。
インスペクションは、以下の3つのステップで行われます。
①不動産の現場を確認し、一般的な生活において特別な問題が生じるリスクがあるかどうかを点検します。
目視による方法で、外観や周辺をチェックします。
②不動産の内部構造について問題がないかどうかを調査します。
場合によっては、内壁や床を破壊して点検する場合もあります。
③不動産のリフォームを行う場合は、リフォーム対象箇所の状態を正確に把握するために、破壊調査も実施することがあります。
不動産を売却する際のインスペクションは、住宅診断士が行います。
不動産業者に連絡して手続きを進めるか、自分で住宅診断士を探すことができます。
ただし、業界知識がない場合は、複数の見積もりを取り、信頼できる専門家に依頼することをおすすめします。
必要な書類とは?
インスペクションを進めるためにはどのような書類が必要となるか?
不動産のインスペクションには、以下のような書類が必要になります。
1)仕様書:建物や設備の仕様や構造に関する情報が記載された書類です。
2)周辺地図:不動産の位置や周辺の環境を示す地図です。
3)建築確認申請書:建築物の設計や構造についての許可を得るために提出される書類です。
4)地番調査書、地番改良施工報告書等:土地の所有権や区画割りに関する情報が記載された書類です。
5)内部仕上げ表:建物内部の仕上げや装備に関する情報が記載された書類です。
6)平面図・建物配置図・設備図等の図面:建物のレイアウトや設備の配置に関する図面です。
これらの書類を用意しておくことで、インスペクションの際に詳細な診断が可能となります。
また、書類の準備によってインスペクションの結果文書の受理もスムーズに進むことが期待できますので、できるだけ多くの書類を準備しておくことをおすすめします。
どのくらい時間がかかる?
インスペクションにはどれほどかかるの? インスペクションの所要時間は、内容によって前後しますが、およそ2~3時間で完了することが一般的です。
ただし、これはインスペクション当日の時間の目安であり、インスペクションの手続き自体が終わるまでには約1週間ほどかかることも考慮すべきです。
インスペクション結果の文書の受理が当日以降になる場合もありますので、完了までの手続きに関しても確認しておくと良いでしょう。
メリットとは?
不動産を売る際のインスペクションのメリットとは? 不動産のインスペクションを行うことには、以下のようなメリットがあります。
1)不動産のインスペクションを適正に受けたことをアピールできる:インスペクションを受けて問題がなかったことをアピールすることで、信頼性や品質の高さをアピールすることができます。
2)物件引渡しをしてからのトラブルを事前に予防することができる:インスペクションによって不具合や隠れた問題を事前に発見し、修復や交渉を行うことで、引渡し後のトラブルを予防することができます。
3)不動産の価値を高めることができる:インスペクションによって問題を修復することで、不動産の品質や価値を向上させることができます。
以上のように、不動産のインスペクションは購入者に対して安心感や信頼性を提供し、不動産の価値を高める効果があります。
売主がインスペクションを行う際に気を付けるべきことは?
インスペクションを行うために売主が気を付けなくてはいけないこととは? 売主が不動産のインスペクションを行う際には、以下の点に注意してください。
問題が発覚した場合には、隠蔽せずに報告することが重要です
不動産のインスペクションを行った際に、問題点が発覚した場合でも、それを隠蔽することは法律上問題となりますし、責任を問われることになります。
問題があると判断された場合には、きちんと報告することが求められます。
なぜなら、不動産のインスペクションは信頼性の高さが求められる業務であり、実施した業者の信用にも影響するからです。
売主と提携している業者がインスペクションを行った場合の注意点
ただし、不動産のインスペクションを売主と提携している業者が行った場合、不正行為が行われている可能性について疑念を抱く人もいます。
実際には、それほど多くないと考えられますが、不動産の信頼性は非常に重要な要素ですので、リスクを最小限に抑える必要があります。
なお、この点は瑕疵担保責任とは別の観点で考慮されるべきです。
瑕疵担保責任の違い
不動産のインスペクションの問題は、しばしば不動産の瑕疵担保責任と混同されがちですが、ここでは、瑕疵担保責任における点検とは異なる要素だと認識してください。
つまり、不動産の瑕疵担保責任とは別に、インスペクションを行う必要があるのです。
不動産のインスペクションは必要なのか
不動産のインスペクションは費用がかかるため、売主としてはできれば避けたいと思うかもしれません。
しかし、宅地建物取引業法の改正により、以下の内容について買い手に説明する必要があるようになりました。
1. 不動産のインスペクション業者を紹介できるかについて。
2. 不動産のインスペクションを実施したかについて。
3. 不動産のインスペクションの結果について。
まとめ
今後は不動産のインスペクションの重要性がますます増していくことが予想されます。
適法に正しく実施するためには、不動産のインスペクションに関する知識をしっかりと理解し、適切に対応する必要があります。